それはあるジャーナリストの「小さな疑問」から始まった。
「杉原千畝のビザで救われたユダヤ人達は、リトアニアを脱出、ソ連を経由し日本へ上陸した。」
では「ソ連の通過ビザは、どのように入手したのか?」
「スターリン率いる当時のソビエト共産党は、ユダヤ人への通過ビザを発給したのか?」
「ソ連の通過ビザがなければ、杉原ビザは何の役にも立たなかったはずだ」
2014年、「当時の関連電報」がロシア人研究家によって発見された。
そこに記されていた「ある事実」。
「ユダヤ人をシベリア鉄道に乗せよ!」
杉原千畝とソビエト共産党との間には、息詰まるインテリジェンスの戦いがあったのだ。
なぜ?どのように? 命のビザは発給されたのか。
300点を超す膨大な写真と図解、公文書の数々が語りかける、ユダヤ問題の史実。
関係者の誰もが語ることなく埋もれかけた歴史の断片。
「同盟国ドイツにおけるユダヤ人問題」が外交史上、最難関の課題となり日本の前に立ち塞がる。
しかしその時、日本陸軍と外務省のインテリジェンスは臆することなく動いていたのだ。
「ソビエト共産党が最も恐れた外交官、杉原千畝」の静かなる戦いの全貌が浮かび上がる。
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石郷岡 建 (著), 杉原 修 (編集)
ISBN:9784909542-43-4 C0022 A5判並製 416頁
本体価格:3,500円+税
発売日:2022年9月9日
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◆石郷岡 建 (いしごおか・けん)
1947 年東京生まれ。早稲田大学文学部中退。モスクワ大学物理学部天文学科卒業。74年毎日新聞社入社、モスクワ支局ソ連・ロシア特派員(2回勤務)日本大学総合科学研究所教授。
著書『ソ連崩壊1991』(アジア太平洋賞、書苑新社)、『ユーラシア地政学』(岩波書店)、『ヴラジーミル・プーチン』(東洋書店)、『論点整理 北方領土問題』(東洋書店)、『ルポ・ロシア最前線』(三一書房)、『さまざまなアフリカ』(三一書房)ほか共著多数。